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Photography by Wisteria Field
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2004年10月

 ハート形の子宮(1020日)
 予定日は116日だったが、1018日の検診の際に妻が医者に「子宮の中に妙な膜がある。」など言われたものだから、20日は午後会社を休んで妻と一緒に医者の話を聞くことになった。
 医者の話では「子宮がハート形をしていて胎児が子宮の真ん中におられずに半分だけの空間で成長しているようだ。大丈夫だとは思うが、稀に仕切りの膜に絡まって手足が損傷することがある。もうだいぶ成長しているから明日出しちゃいましょう。」とのこと。
 こう聞かされるとちょっと心配にはなる。まだ2週間も先と思っていたのに、もう明日出産っていうのも急だよなあ。

出そうで出ないは。。(1021日)
 陣痛促進剤を使って出してしまうことになったので、妻は朝から入院だ。15時前に妻から会社に電話がかかってきた。いよいよ始まりそうだとのこと。勇んで病院に行ったのだが、妻は陣痛室とかいう小さな部屋で何やら落ち着いている。始まったと思ったが収まってしまったのだ。朝から他の妊婦さん4人を見送ったとのこと。うーん。
 結局今日は生まれそうもないということでやむなく帰宅したのであった。

出たのはいいけど。。(1022日)
 出社前に病院によってみると妻はかなり消耗した感じ。でも医者が今日出してしまわないと母体もやばいということで、いよいよ今日は間違いなく出る。(に違いない。)
 会社で仕事をしていたが午前中は何の連絡もない。念のために昼休みに病院に電話してみたところ、もう分娩室に入っています、とのこと。なんじゃこれはと思いつつ病院に向かう。
  病院に着くと既に生まれてしまっていて、子供はもう新生児室に入っている。しかし、ウチの子だけどういうわけか保育器とかいうケースに入れられている。生まれたての赤ん坊はくしゃくしゃで猿みたいだと言われていたが、ウチの子はなんだかぽちゃぽちゃしているし、よく見るともう爪も伸びている。なんか予想よりもしっかりしているなあと保育器に付けられた名札を見ると、妻の名とともに新生児の体重が3900gと書かれている。なんで予定日より2週間も早いのにこんなにでかいんだぁ。ちっともかわいくないぞ。。それにこんなにでかいのに何で保育器に入っているんだぁ。謎だらけだ。
 看護婦さんが言うには「かなりの難産で子供が苦しくなってしまったので、濃い酸素の中に入れてあります。奥さんはちょっと出血が多かったので、病室で待っていてください。」とのこと。
 入院用の病室で待っていたが、全然呼び出しがかからない。不安は募るばかりだ。子供が苦しくなったとか言われても何のことやらわからないし、女房にしてもこんなに時間がたっても会えないっていうのはかなり変だ。
 出産から3時間くらいたってようやく女房に面会ができたが、妻はかなり消耗した様子。
  ようやく医者の話を聞けたが、2300cc出血したという。(そう言われても多いのか少ないのかわからなかったが。)陣痛が弱かったのと胎児の頭が大きかったのとでなかなか出てくることができず、すごい難産だったとのこと。
 妻は消耗はしているが時間がだいぶたったために落ち着いてはいた。とにかくしんどかったらしく、分娩室では錯乱状態で「もうお腹を切って出してちょうだい。」と叫んでいたとか。そして医者に「あんたは母親になるんだからもっとしっかりしなさい。」と叱られたとか。
 我が息子は頭がでかすぎて産道を通るときに息ができなくなり、出てきたときはオギャーと泣けず息をしていなかったそうな。あとで育児手帳を見たが、たしかに「仮死状態」と書いてある。そして括弧書きで「蘇生」と書いてある。
 うーん、我が息子よ、君は生まれながらにして蘇った男なのだよ。
 ずいぶんと出産の様子を長々と書いてしまったが、赤の他人からすれば面白くも何ともないはず。何時の日か、息子よ読んでくれ。君の出生はかくも大変だったのだ。

保育器の中のでかい奴(1023日)

 出産から2日目だが、我が息子は保育器に入ったままである。人一倍体がでかいくせに保育器にパンツ一丁で大の字に寝ている息子の姿は不憫なものだ。
 新生児室には当然ながら何人かの新生児のベッドが並んでいる。新生児室の前で私がガラス越しに息子を眺めていると、孫を見に来たと思しき老夫婦が不思議そうにつぶやいている。「あの保育器に入っている赤ちゃんってずいぶん大きいわよね。なのに何で保育器に入っているのかしら。」おじいさん、おばあさん、丈夫そうには見えますけれど、ウチの息子は仮死状態で生まれてきたんです。勘弁してやってください。

点滴の母(10月24日)
 岸壁の母という曲があった。よく覚えてはいないが、とても悲しい歌だったと思う。今回の私の妻は「点滴の母」であった。これもとても悲しい。
 妻が出産時に2300ccの出血をしたと以前に書いたが、この量はかなりのものらしい。ネットで調べたところ1000ccくらいの出血でも命にかかわるとのこと。まあ出産ということを割り引いても2300ccはかなりやばい量だったわけだ。
 だから妻は出産後も貧血でふらふらしていて、昨日まで点滴も受けていたし、ベッドの脇には尿をためる袋が置かれている。そう、妻はまだ自力で排尿できないのだ。
 授乳時間になるとよろよろとベッドから起き上がり、点滴をぶらさげる棒につかまりながらそろそろと授乳室に向かう妻。足元には尿をためる袋が見えている。うーん、悲しい光景であった。

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